時代の端境期の今、様々な不安定さが人々の恐怖や不安をあおっていると思います。社会的にも戦争や移民問題、海外からの観光客に関して起きている不和などの話題も増えている中、個人レベルでも争いごとが起きやすい世の中になっているのではと感じるのですが、今回はそんな今の世の中や、それを形成している我々一人ひとりへの大切な教訓として天秤座の表す世界観について考えていこうと思います。
天秤座とはそもそもどんなサインなのか?
天秤座はどんなサインだったかというところから考えていきます。少しかじったことのある方ならご存じの通り天秤座は風で活動、金星をルーラーとして持つサインです。
今回の話題に触れる上で外せないテーマでもある「調和」。ここに関連する代表的なサインと言えるでしょう。
我々はまさに今、世界で起きていることを考えるうえでも、占星学の世界から学べることがたくさんある気がします。今回はこれにまつわる過去記事を二つピックアップしました。このサインの構造を意識しつつ、まずは読んでいただければと思います。

フロムが語るリスペクトと人間関係
まずは一つ目の内容です。これは哲学者フロムの言葉から天秤座について考えていく内容となっています↓
人間関係のテーマに取り組む上でお互いの敬意って大切だと思う。これは哲学者フロムの言葉。
「人を尊敬するにはその人のことを知らなければならない。相手の立場に立ってその人を見ることができたときにはじめてその人を知ることができる」
自分はこれを見てまさに天秤座のテーマだと感じた♎
人間関係は太陽サインが何であれ誰にとっても避けては通れないもの。すべてのサインにも言えることですが、特にそういった意味で天秤座の持つテーマは誰の人生であれ無視できない。天秤座に触れる機会は非常に多いはず。
それが家族であれ、友人であれ、敵のような立場の人であったとしても、いずれにせよ人は関わりを避けて生きることはできない。
そんな我々にとって、相手の立場にも視点を置くことって単純なことのようで意外と難しい。この世界は分離している。「あなたのことを考えて〜」と言っていてもそれがただの主観だったりするケースだってある。
調和のためには複数の視点が必要。主観だけでは調和しない。人間関係で主観から抜けるためには「相手を知る」必要がある。しかしついつい人はそこをすっ飛ばしてしまう節があるようにも思う。
フロムが語ったように、人を心からリスペクトするためにもその人の歴史を知ってみようとする姿勢は大事だと思う。
例えば人間関係をテーマに持つ天秤座は、理に適っていないことや間違ったことを言っていると感じたら人をそのまま評価してしまいがち。
その人の言葉や態度がどんな経験や想いからもたらされたものか、その背景を知ろうとすることで関係性はより実りのあるものになる気がする。ここは自分も気をつけたいテーマだなと思う。
争いは無知と無関心から生まれる
こちらは争いを生むのは無知であるという話を耳にして、なるほどなあと感じた時の記事です。天秤座と牡羊座のオポジションに関して触れています。
人が争いを生む原因について、絶対的な答えはないかもしれないけど、最近「無知と無関心が争いを生む」という話を聞いてなるほどと思うことがあった。
これはある意味サインの体系の中にも表されていることなのではないかと思う。
今日は牡羊座と天秤座から考える無知と争い💥
そのお話では争いは無知と無関心によって引き起こされるのだという話をしていて、お互いにお互いの歴史や立場、思いに関して無知であり無関心であるという状態が調和のための相互理解を阻んでしまうという内容だった。
ここで12サインをイメージすると、チャートの中に示されている戦いと調和のオポジションといえば牡羊座と天秤座の話になる。
戦いの神であるアレス(火星)が支配する牡羊座は戦うサインと言われる。美を司るアフロディーテ(金星)は天秤座を支配し、調和と関わる。
東の一番目、最も純粋な個であり、火の性質を持った牡羊座は非常に視野の狭い世界観とも言える。ここはまだ自分しか見えていない。何なら、まだ自分すらよく知らないくらいのところだと思う。
一方で反対側にあり、人と関わっていく天秤座は風の性質を持ったサイン。自分以外の人の立場や視点にも立ちながら周囲の人に関心を持って物事を思考する世界。
まだ何も知らない衝動的な世界観の牡羊座が戦いと関連付いており、知性と関連し、客観性を重んじる機能と関わる天秤座が調和と関連するサインなのは今回の話と照らし合わせても興味深いことだと感じた。
天秤座が客観的な視点を持って人と関わろうとする世界だとしたら、次の水瓶座の世界は天秤座の世界よりもさらに経験値が高い人達による人間関係の輪、ネットワークの世界。まさにここは知的なグループというイメージ。みんなが必要なことを知っている「I know」の世界。
みんなが無知ではない世界観を持つ水瓶座の時代の最盛期には、無知や無関心を利用した戦争ビジネスのようなものは通用しない世界になっているのではないかと思いました。
天秤座と「知ること」について
この二つの内容に共通するものとして自分がピックアップしたいテーマは、関係性において相手を知ろうとすることがいかに大切か、ということです。このことは天秤座が表す一つの教訓ではないかと思います。
天秤座は風のサインですから、このサインのカラーとして、風のエレメントの持つテーマは必要不可欠なものとなっています。天秤座は複数の立場で物事を見る力でもありますが、つまり、そのためには相手を知らなくてはなりません。風のエレメントは知ることと密接に関係しています。
調和というテーマを持ったこのサインが、知ることと関係している風のサインであることは非常に興味深いことではないでしょうか。フロムが語ったように、リスペクトが大事だとしたら、それこそ相手を知らずしてリスペクトを抱くことはできません。

個人的に体験したこと
これは具体的にどのようなことなのかをイメージしていくために、自分が体験したことを例に挙げてみようと思います。
これは自分にとって理解しがたい動きをする人とやりとりをしている時に起きたことです。自分にとってその動きはあまり生産的な結果につながっていないように見え、問題に繋がっているのではないかと感じました。全く納得のいかないそのアクションに、どうしてそこにそんなに固執するのか、と僕はついに言ってしまったことがあります。
するとその人は、過去の体験やそこからくる大切にしている価値観をシェアしてくれました。それを聞くと、自分の見え方が変わっていきました。その人は決して無駄にそのようなことをしていたのでなく、その人なりの取り組み方があってそうしているのだと判明したのです。
その人の大切にしていることに自分はリスペクトを持てましたし、ならば、また違ったやり方でサポートできることがあるはずだと素直に感じることができました。人の間にある不和は、単純に相手を知らない、相手を理解できないことにあるのだという話が、すごくしっくりくる体験でした。
皆さんも違ったシチュエーションにおいて似たような体験があるのではないでしょうか。
有名人叩きと天秤座
最近はネットで有名人をたたくような方もいますが、一方でその人の生きてきた背景や、抱いている思いを知ろうとするところに視点が向かない場合が多い気がする今日この頃です。
今は水瓶座時代への端境期。水瓶座を高度に発揮していくためにはひとつ前の天秤座の学びが必要になります。ともすると天秤座には、正論や正しさで人をジャッジするような体験にもつながってしまう側面があります(未熟な場合)。
このまま水瓶座の社会になれば、人がお互いを正しさという名のもの差しで監視しあう社会になってしまいかねません。現に今のSNSはそうなってしまっているところがあるようにも思います。何が正しいかだけでなく、人の心をちゃんと持って物事を見ていきたいものです。
貨幣経済がもたらす無関心
とはいえ、人はなかなか自分以外の立場の人を知ろうとしません。そもそも、知る機会すらあまりないのかもしれません。これの原因としては人々が無関心であることが一つの要因として挙げられるのだと思いますが、その背後には、貨幣経済の弱点がある気がします。人はお金を介して人と関わるというシチュエーションが多いため、例えば生産者がどんな人たちか、どんな思いでそれを生産しているかなど、または、それがどのように作られているかということにも中々意識が向きません。
お金を稼ぐことに時間を取られ、人を知ろうとする余裕がない場合も珍しくはないと思います。余裕のなさは視野を狭めてしまうことがあります。個人的には、お金が悪だとは全く思っていませんが、歪んだお金の流れ方をしているこの社会において、無関心のままでいてしまいやすい土壌が出来上がってしまっている気もします。
天秤座のルーラーである金星はお金とも関わるシンボルです。我々はこのことをよく考える必要がありそうです。

愛の反対は無関心
いやいや嫌いな相手を知りたいとは思わないよ、という場合も多いはず。あんな奴、見たくもない!というやつです。自分もすごくあるなと思うのですが、しかし一方で、知りたくもない!と言いつつ、ずっとその相手の愚痴を言っていたり、ずっとその人の不満が頭から離れないといったことも起きやすいですよね。
単純に興味がないのなら、ずっとその人のことを考えるということは起きません。そもそも意識がその人に向くことはないでしょう。愛の反対は無関心であるという格言がありますが、これはとてもしっくりくる言葉だと思います。愛の反対は嫌いではなく、無関心、つまりある意味、好きも嫌いもその対象に意識が向かっているという意味では「関心が向いている」状態です。もちろんその理由は全く違うはずですが、決して無関心であるということではありません。
だとしたら、嫌悪しつつもずっと意識してしまうようなとき、相手に対して何か納得がいかない、どうしてそうなってしまうのかを知りたいという意識が働いているかもしれません。ある意味このような形で我々の金星は「知る」チャンスを与えてくれているのかもしれません。
今回のまとめ~そもそも人は鏡である
今回は天秤座と調和について、相手を知ることという観点から考察させていただきました。これを書いていて、自分も改めて天秤座が風のサインであることの意味について考えることができたと思います。ここで最後に、我々としては絶対に忘れてしまってはならないことがあります。それは人の姿は自分の姿であるということです。
我々の扱う占星学を実践する上で、ここは外すことができません。そもそも相手が自分の姿のどこかを映し出しているのだとしたら、どうでしょうか。やはり、そこには何らかのヒントがあると思います。単純にこいつが悪いから、という次元の話ではなくなってくるはずです。
我々が今直面している多くの社会問題について考えるためにも、これは大切な要素だと思っています。これだけ多くの問題が表層化している今、人のことを裁いている場合ではなく、一人ひとりが自分を丁寧に見ていくこと、放置していた自分の中の問題を見ていく必要性が高まっていると思います。
占星学はこういった取り組みに非常に約に立つツールです。ネイタルチャートには自分の中のバランスしがたいもの、傷、幼少期やそこから形成されうるパターンだったり、様々な要素が描かれています。そして何より、自分のネイタルチャートに触れることで、他人もまた、自分と同じく様々なテーマを抱えていることを実感できるでしょう。
相手のネイタルチャートを見せてもらって、「ああ、確かにここはこの人の難しさなんだろうな」と思えることも沢山ありました。相手を知ることと調和の話をさせていただきましたが、まさに人と自分の違いを知り、受容することにも役立つツールです。興味のある方はぜひ下記バナーよりチェックしてみてくださいね。