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重要なテーマは繰り返される⁉~占星学とネイタルチャートの不思議

今回はネイタルチャート(出生図)に関する話題です。皆さんはご自身のネイタルチャートを分析して、何を感じますか?ネイタルチャートは様々な読み方がありますが、不思議なことに、重要なテーマは何度も重ね塗りをしてあるかの如く、何度も描かれるということがあります。特に初心者さんにはこの感覚がうまく伝わるかはわからないですが、ひとまず今回は占星学の不思議に触れながら、チャート分析をしていくうえで大事だと思うスタンスについても触れていこうと思います。

ネイタルチャート上に繰り返されるテーマとは?

ここでまず言っておきたいのは、ネイタルチャート(出生図)には、繰り返される要素があるということ。つまり、何度も何度も、どの角度からチャートを見てもプッシュされているテーマがあるということです。まるでネイタルチャート自体が重ねて訴えたいかのような要素が見つかったりすることがあります。これはもちろん人それぞれ違っているのですが、僕はチャート分析において必ず押さえておきたいポイントの一つはこういった部分だと思っています。繰り返されている要素は実際、その人の人生の中でも目立つ要素としてわかりやすく機能していたりします。

ネイタルチャートが置かれた机
ネイタルチャートのイメージ。チャートには繰り返される要素がある。

それって例えばどんなこと?

そもそもこれはどういう話なのかというと、例えば、特定の見方に沿ってチャートを見たとき、2ハウスが目立っている人がいるとします。そしてそのチャートを別の技法や別の観点で考えたとき、2ハウスに関連するテーマが浮かび上がってきたり、また、別の観点で見ると、金星(2ハウスのテーマに関連したニュアンスを含む)が浮かび上がってくるなど。というような感じです。

こういった要素を拾っていくことによって、その人のチャートがどういう方向性を強く持っているのかのヒントになってきたりします。が、もちろん今のは比較的わかりやすい場合の話です。一見関係ない部分がトータルで見るとつながってきたりということもあり、一概には言えません。うまく伝わったかわかりませんが、とりあえずイメージとしてはこんな感じという話です。

あるネイタルチャートに見られたケース

さらに具体的な話を挙げておこうと思います。僕がずいぶん昔に見たケースを例に挙げると、牡羊座の土星と太陽が8ハウスにあり、火星が非常にプレッシャーを受けた配置の方がいました。またこの方は金星が強く7ハウスも目立っています。そしてASCは乙女座であるという状態です。

 

ここには何重にも折り重なって見えてくるテーマがあります。一つはこのチャートが持つ火星的なテーマです。このチャートはただ太陽牡羊座であるというだけでなく、様々な形で火星に関するハードルが設けられているように感じます。実際この方は火星的な質をどう発揮していけばいいかという点について、難しさを抱えながら生きてこられたといいます。このような、特定の天体の要素に抱えたストレスによって体験する典型的な事例というのがあったりしますが、それらにも当てはまっており、やはりここは本人にとって大きくテーマになる部分なんじゃないかと感じました。

 

また、ここで挙げた要素だけでなく他の見方で見ても、そのチャートからはさらに火星に関する葛藤が浮かび上がってくるため、これは何度も繰り返されているポイントです。特徴的に火星のテーマが浮かび上がっていたこの人は、まさに幼少期からこれにまつわる体験を繰り返しています。幼少期といえば例えば4ハウスの話にもなってきます。この方の4ハウスを見たとき、ここには本人がまさに必要としているまま放置されていた要素、火星を表現していくために欠落していたものが隠れているように自分には見えました。この方の幼少期はなかなかにハードな体験であふれていたようです。俯瞰して考えたとき、そのシチュエーションをわざわざ選んだのも本人自身であると言えます。そのように考えると、そこにはより大きなテーマに関わってきそうなものが見えてきました…

 

あくまでこれは一つの見方でしかないですが、このように一つのテーマが重複して現れていたり、他のテーマがあるテーマを補強していたり、その要素を強める影を落としていたりと、様々な形でこの繰り返しは現れてきます。そして、一つ強調されたポイントが見えてくると、芋ずる式に考察材料が浮かび上がっていくのもネイタルチャートの特徴のように感じます。

 

トップページでも触れているように、ネイタルチャートを我々は羅針盤に例えたりしますが、このように掘り下げていくと、本当によくできているなあと感心せざる負えません。

別のケースで起きたこと

他の興味深いケースの話も添えておこうと思います。ある人のチャートを見ると、「父不在」というように取れる配置が何重にも繰り返されている人がいました。しかし、そのチャートの持ち主は、まさに早い段階で父親との別れを体験していました。どこかでそのことをコンプレックスのように感じていた本人は、こんなに何重にも描かれているなら、自分の歩んできた道が必然だったのだと腑に落ちたといいます。霊的な視点で考えるなら、まさに本人はその道を歩むことによってしか経験できないことを経験するため、その入念な「父不在的配置」を選んで生まれてきたのではないかと考察できます。

テクニックの数でなく、チャートの繰り返しに気付けるかどうか

西洋占星学にも沢山の読み方、テクニックが存在しますが、先ほどの例のように、チャートにはどの角度から見ても浮かび上がってくるテーマがあります。そのため、自分はマニアックなテクニックをたくさん揃える必要はあまりないと感じることが多いです。

思うに、どの切り口から入ったとしても最終的に浮かび上がってくる部分、収束していくテーマに気付けるかどうかが大切だと思っています。もちろん全部が全部同じポイントに着地するわけではないですが、総合してみたとき、少なからず大まかなカラーがあるように感じることが多いです。

 

特殊な技法やマニアックな方法論をたくさん揃えていると、さも深く読めるような、お得な感じに思えるかもしれませんが、個人的には点と点がつながったとき、どこにチャートの方向性や焦点が際立っているかに注目したほうが合理的な気がしています。

 

自分もかつて、テクニックをたくさん身に着けることに関して、自分の先生から手厳しいことを言われたことがあります。ある時、「読めない人ほどテクニックをたくさん身につけたがる」ということを指摘されました。

今はこの発言の意味をよく理解できるのですが…いろんな技術があって面白いのは確かですし、学んでみること自体は楽しいので自分もよくやります。しかし、自分の人生の中で占星学を役立てていく上では、そこまで多くのテクニックを必要としません。テクニックに逃げるのでなく、チャートを深く読んでいくことが大事だと思っています。

どの視点に立ってチャート分析するかが大事

補足ですが、ネイタルチャートに繰り返し浮かび上がってくるテーマも、そもそもどの視点に自分が立って理解するかによっては解釈が全く違ったものになってくるため、どのようなスタンスでチャートを読むかという大前提の部分はまず重要だと思っています。

例えば、我々は占星学と占星術を分けて考えたうえで占星学としてのスタンスを採用しています。(詳しくはこちら)一方で、吉凶占い的な観点で見ている方と分析を並べたとき、同じ浮かび上がったポイントを見ていてもその解釈は異なってくるでしょう。そもそも、浮かび上がってくるポイントすら違ってくるかもしれません。チャート分析を分けるのは豊富なテクニックでなく、その人がどのようにチャートと向き合うか、そのスタンスが大きいと思います。

 

どのスタンスで読むかによって、天体、サイン、ハウスが持つイメージは違ってくる場合があるので、そのうえでどこのポイントが浮かび上がるかというところを見ていく必要があるでしょう。

ネイタルチャート分析はまるで夢の解読

ここまで、ネイタルチャート上に繰り返される要素に関して触れさせていただきましたが、こういった視点でチャートを眺めていると、改めて、ネイタルチャートの分析は夢の解読のようだと思ったりすることがあります。ここでいう夢は寝ているときに見る夢ですが、夢にもしばしば、何度か強調されるシンボルが出てきたりすることがあると思います。メッセージ性の強い夢だと感じる夢を見たときは大体何らかの強調や繰り返しが起きていると思います。ネイタルチャートは生まれてきた時の天体配置が描かれたものであり、その人の無意識もまたそこに描かれています。この不思議な曼荼羅を解読していく作業は、自分の無意識に触れていくことでもあり、それは夢の解読にも通ずるものがあるのかもしれません。

夢のイメージ
夢のイメージ。チャート分析と夢の分析はある意味両方、シンボルの解読。

ネイタルチャートに繰り返し強調される要素について~まとめ

ここまで触れてきた内容について改めて簡単にまとめておこうと思います。

  • ネイタルチャート分析において、繰り返される要素が見えてくることがある
  • 一つのテーマを補強する別のテーマや要素がかみ合って、テーマが浮かび上がったりする
  • テクニックをたくさん揃えるよりも、繰り返し強調されたポイントに気付けるかどうかが大事ではないか(持論)

ざっくり要点をまとめるとこんな感じです。ちゃんと伝わっているかはわからないですが、少なからず自分はかなり大事にしている考え方です。また、今回はネイタルチャートにおける事例にクローズアップしたものの、これは他のチャートにおいても当てはまります。季節図や満月図、新月図などなど。

 

繰り返しながら強調されるテーマを拾いつつ、チャートの方向性をとらえていくことが一つのポイントだと思っています。ぜひ、注目してみてください。

この記事を書いた人:

タニコ
タニコ

占星学士。教育をテーマに立ち上がった占星学グループで霊的な占星学を学び、講師としても研鑽を積む。2021年に個性占星学を立ち上げ活動を開始。霊的な学校で意識と現実について10年以上学んだ経験も活かしながら、三面観音プーと占星学講座とセッションを実施中。Xでも占星学について投稿中です!より詳しくは講師紹介ページをご覧ください。

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