地のエレメントが効いた自分からすると、火のエレメントの強みの一つはそのシンプルな様にあるように思います。今回は火のエレメントに関する考察ということで、あくまで根底にあるロジックというよりは、その表現について触れていく内容です。今回はXで過去に触れた内容の中でも、考察の上でイメージの役に立つ二つのトピックを取り上げながら進めていきます。
そもそも火のエレメントとは
火のエレメントは4つのエレメントの中でも1番目に位置するエレメントです。エレメントはそれぞれがユニークですが、これらの違いを明確に理解することはサインの特徴をつかむうえでも重要なこととなります。
中でも火エレメントは一般的に情熱的なイメージなど、火の持つ質と結び付けられ、これは火のイメージに由来するものです。その中には今回のお題となっているシンプルさという側面が含まれるのですが…ここもやはり火の質を語るうえで外せない一つの特徴だと思います。(霊的な占星学における火エレメントとは何ぞやということや、細かいロジックに関しては占星学基礎講座でお伝えしています。)

打てば響く火のエレメント
以下は過去にXで触れた火のエレメントに関する考察を整えたものになります。今回は火のエレメントが持つシンプルな側面について取り上げた二つの記事を紹介しながら、火のエレメントについて考察していきましょう。
打てば響く、火の人。
社会には沢山の情報が流れていて人は常に色んな事を考えながら生きている。考え過ぎて疲弊してしまうこともしばしば。デジタル社会化がものすごいスピードで進んでいる今は特にそうだと思う。
そんな中で火の効いた人を見て感じるのは、打てば響く素直さをお持ちの方が多いなということ。彼らはピンときたときまるで「頭上のランプが点灯する」かのようなようなテンポの良さを自分は感じる。そこに細かいことを挟まない。
「そっか!」「なるほど!」「それいいね!」ができる人達。とてもシンプルだと思う。
考えるよりも簡単なことのように思えるけど、複雑に、もしくは綿密に考え過ぎてしまうタイプにとってこれは逆に難しい。例えば水が強い人は感情が思考にも影響しやすいので、ピンときてよし!というテンポの良さを発揮しがたいということも珍しくはない。つい重たくとらえてしまって感情的になったりすると、なかなかそうシンプルにはならない。
風のエレメントは性質上、そのリアクション自体スムーズなものの、思考優位なので時に理屈が先行する。理屈が先行しすぎる場合、これはこれで火のような素直な感じともまた違ってくる。
地が強い僕のような人の場合、それが現実的か、具体的であるか、リスクは無いか等に意識が向きやすく、常にそれを具体的に考えてから反応しようとするため眉間にシワを寄せながら、うーんと考えてしまう。そういう意味では、火と最も対極にある状態に陥りがちだと思う。
一方で直感は無意識からやってくる。そしてそのプロセスには余計な処理を挟まない。というより、複雑なプロセスが存在していない。この性質はもちろんメリットだけではないけど、リスクを避けて考えがちな現代人はついつい難しく考えてしまいがちなので、火の力もやはり必要だと思う今日この頃。
丁度今日火の方がセッションに来てくださったのですが、やはりパッと明るい火花のような人でした。
特に牡羊座の場合
以下は火のエレメントに属する三つのサインの中でも一番初めの牡羊座について触れた回の投稿です。前述のシンプルさをイメージするのに非常にいいサンプルだと思います。
以下、二つ目の投稿です。
シンプルな人程、自分のことを好きになれるという話を聞いたことがある。最初はどういうことかよく分からなかったけど、牡羊座の知人を見て納得することがあった。
牡羊座の知人がある失敗した時に言ったコメントが今でも忘れられない。
それは「また成長してしまうな!」だった…確かにこれくらいシンプルだと自分のことを好きでい続けられる気がした。
失敗したとなると、色々現実的なことも含めて複雑に考えてしまう地の強い自分は、このポジティブがインフレを起こしたような思考回路に大きなインパクトを受けた。どこがよくなかったか、どうして失敗したかというところにフォーカスしすぎるとこのシンプルさはなかなか得られるものではない。
失敗から失望するのではなく恩恵の側に目を向けられるってすごいことだと思う。ある意味無敵。他にも厄介な人が現れた時は「相手がいると燃えるよね」と言っていた。
世の中には自分のことが好きになれない人が沢山いて、本屋にはメンタルに関する複雑な本が溢れている。自分を好きになるためにあまりにも複雑なプロセスをたどっているようにも見える。牡羊座の人を観察していると、自分を好きになるって本当はもっと単純なことなのかもしれないとすら感じられてくる。
牡羊座は何故シンプルなのか?火のサインであるということもありますが、中でもすべてのサインの始まりのここではまだ余計な概念が入り込んでいないからとも言える。
シンプルに考えてみると、確かに大抵の失敗は死ぬわけではないし、失敗といっても社会的な責任や評価に問題が生じるくらいなこと。いかに多くの人が概念的に評価を恐れているかが見えてくる気がした。
獅子座や射手座等、他の火の人も参考になるけど、中でも牡羊座はその発言からぶっ飛んでる印象を受けることが多い気がします。
火のエレメントはシンプルである
さて、二つの投稿を紹介させていただいたうえで、今回の本題に入っていこうと思います。二つの文章からもイメージできるように、火にはシンプルな性質がありますが、これは一体どのようなことなのでしょう。これは打てば響くような単純な様、そして同時に、これは人が前を向くうえでも大切な要素だと思います。今ではなるほどねと思うのですが、過去に自分はこの要素について長らく解像度が上げられないまま過ごしていました。それは何故かというと、主に火のエレメントに属する三つのサインを並べてみたときに納得がいかない部分があったからです。

この火の性質について理解が及ばなかった理由
火のエレメントが持つシンプルな側面に関して、長らく自分は分かったような分からないような印象を抱いていました。というのも、火のサインに属する一番目である牡羊座であればまだイメージしやすいものの、同じく火のエレメントに属する射手座や獅子座に関しては、別にシンプルというほどではないだろうと感じていたからです。
特に射手座は高尚なものと関係していたりもするため、なおさらこれが単純であること、シンプルであるということがなかなか自分の中で腑に落ちませんでした。射手座は一般的には哲学と関わると言われたりします。しかし、当時の自分を振り返ると、このシンプルであるということが、「複雑なものを扱うことが難しい」という意味ではないことを理解する必要がありました。
シンプルであることは、複雑なものを扱えないという意味ではない
後々自分が生身の人たちを見て学んでいく中で、気づいたことがあります。火のエレメントというのは、それが人間として表現されたとき決して浅いとは限らないということです。(ここで言う浅いというのは、人間的に浅いというような話でなく、イメージとしてはliteなというニュアンスの話)
確かにこのエレメントはその性質上、重たいものではありませんが、だからと言って火の太陽を持つ人物が厚みのあるものを理解できないという話にはなりません。そういう意味でのシンプルさとは限らないということになります。例えば火のエレメントに属する有名な人物として、カール・グスタフ・ユングをあげることができます。彼はユング心理学で有名な精神分析の権威です。
ユングから考える火のエレメントのシンプルさ
実際、ユングの扱う心理学の世界は全くシンプルなものではありません。彼の残した著書も複雑難解なものが多く、一度読んだだけで理解できる人はかなり珍しいのではないでしょうか。(錬金術などの暗号めいた象徴の世界は初めて読む人には厳しい内容ですよね)
さて、そんなユングが何座生まれだったかというと、獅子座の太陽を持って生まれた人物でした。牡羊座に続く二番目の火のサインである獅子座に太陽を持って生まれた本人は、決して単純ではない概念、無意識の領域を解明しようとしました。
このような例を見ると、火のエレメントが人間として表現された場合、一見どのあたりにその性質がみられるのかわからないと思われる人もいるかもしれません。
ただし、火のシンプルさはその心持ちや態度によって表現されるのであって、人として複雑な分野に興味を持つことができないという話では決してないのです。また、複雑な概念を理解することができないということでもないでしょう。要するに火の人であるから、単純でシンプルなものにしか意識が向かないし、そのようなものしか扱えない人になるかというと、そういう話でもないということになります。
前述のとおり、最初の頃自分はこのことがよく理解できていませんでした。それゆえに火のシンプルさがどのような形で表現されるのかがよく分かっていなかったと思います。しかし、多くの火のエレメントの人たちを観察しながら、その性質がどこに表現されているのかを理解すると、やはりそこには火の独特な単純さ、シンプルさが見えてきます。ユングの場合、扱っていたもの自体は人の深層心理や無意識の世界ということで非常に複雑なものでしたが、本人の情熱やモチベーションと本人自身が向き合う上では、きっとその火の質ならではの単純さ、シンプルさ(それはある種の純粋さともいえると思います)が表れていたのではないかと思います。人はしばしば葛藤を抱えているもの。人の中にはアクセルを踏みながらブレーキをかけてしまい、自分の取り組みや信じる世界に対してまっすぐ向き合えないという人もいたりしますよね。
もちろんネイタルチャートには様々な相克する要素が描かれているため、一言では言い切れない部分もありますが、本人が火の太陽を持って生まれたということからは、実際にそのような質を体現していたことが考えられるでしょう。このシンプルさは地や風が表現するものとも違います。また、彼の探求は複雑難解な世界でありながら、俯瞰した抽象度の高い視座を必要とする世界を探求したという意味でも、実はこの性質が当てはまっています。

ユング は無意識の世界を探求する上で、錬金術など一見オカルティックな分野をヒントに扱った人物なのですが、これに関して師であるフロイトからはやめるようにと言われていたようです。(実際、エレメントの観点でもユングとフロイトの精神分析の姿勢の違いがうかがえます。)それでもそこに対する情熱を優先したということ自体、ユングに潜在する火の要素を感じるなと自分は思うのです。
少しだけ本筋からはそれますが、ユングは無意識の領域にある諸要素を解明しようとしました。その中には元型という概念が含まれます。まさにこれは無意識という闇の領域に光をもたらし、そこにあるものを見出だそうとしたという意味において、火のエレメントを象徴しているように思います。まだまだ彼の人生と火のエレメントについては多くの考察ができますが、話がそれるので今回はこの辺で。
今回の結論
今回は火のエレメントが持つシンプルさに関して、自分の過去に理解し難かった体験も交えながら紹介させていただきました。
エレメントという考え方はとても深いものだと感じます。大体占星学に触れるとなると一番最初のあたりで着手する要素でありながらも、いつまでも深まっていくポイントの一つです。実際、個性占星学の講座においてもエレメントは比較的早い段階で触れていただく内容です。特に火のエレメントは霊的な視点で占星学を紐解いていくうえでも重要な最初の要素を表しています。
さて、エレメントの中でも火は最も初期の段階を担っているエレメントだと言い換えることもできます。火のエレメントの持つ資質はもちろん、それこそ火加減というものが必要にもなってくる気がしますが、やはり現代人がつい失ってしまいがちな性質のようにも思います。
このエレメントをうまく生かしていくことができれば、人生の明るい側面に気づくことができるものでもあるはずです。
こうしてまとめている中で、改めて自分の火のエレメントについても考える機会を得ることができたと感じています。